「侍ジャパンは問題なし」と断言できた最低限の要素。建山義紀の野球「プロ目線」
WBCどこを見れば良し悪しが分かるのか?
牧田、則本、増井がポイントになる
――なるほど、例えば四番と期待されている筒香選手などのコンディショニングはどうでしょうか。
建山 豪快なホームラン。周りからそういうものを求められているので不安視されているだけでしょう。彼自身、ホームランというより効果的なタイムリーヒット、チャンスで点に結びつくようなバッティングをしようとしているように見えます。レフトへのヒットなどはその表れです。現実問題として、相手の資料がほとんどないなかで引っ張って豪快な一本を打つというのは簡単ではありません。それを分かったうえで、アジャストするために「考えて打席に入って」いる結果であるように思います。ですから、実戦に入ったら変わると思います。
――今はデータがない中でいかに打つかを考えながら打席に入っていて、反対方向へもヒットが出ている。その点で筒香選手も問題はないだろう、と。
建山 そうですね。ただ、本大会に入ればそうそう得点はできない、と考えています。これは日本だけではなく、各国そうなるのではないでしょうか。ですからピッチャーがいかに抑えて、バッターは少ないチャンスをものにできるか。そういう意味で打線に関して不安は感じていません。
――ポイントはピッチャーになる。
建山 はい。
――キーマンは誰になるでしょうか。
建山 牧田(和久)、則本(昂大)、増井(浩俊)投手の三人になると思っています。この三人はふだんのシーズンにはない役割を担わされることになると思いますが、球数制限があることもあり、試合の流れがどっちに転ぶか分からないシーンで投げなければいけません。不測の事態、たとえば先発投手が打ち込まれる、絶体絶命のピンチなどで登板する彼らの出来がキーを握るのではないでしょうか。
――牧田投手への期待は大きいように思います。
建山 そうですね。ただ、何かあったらいつも牧田投手、というわけにはいかないでしょう。第二先発が不透明なところもあり、この三投手の使い方、出来はポイントになります。
――増井投手は昨年先発でも結果を出し、リリーフの実績もじゅうぶんです。
建山 キャンプ取材を通して、アジャストは何とかできそうだ、と話をしていました。強化試合ではまだそれがうまくいっていないように見受けられるシーンもありましたが、最後のオリックス戦(3月5日)はしっかりフォークボールを投げ切れていたので、最終的にはアジャストできたのではないかと見ています。何より、増井投手の場合は、気持ちの力みがパフォーマンスに直結するタイプなので、抑えたいという気持ちをいかにコントロールできるか、が重要だと思います。シーズンもそうですが、抑えたいという気持ちが強いほど力みが出る。気持ちの力みを抑えられれば結果は出してくれるはずですから、適性は中盤にあるのではないでしょうか。
続き【東京ラウンドだけでは安心できない要素】は3月15日12時に配信予定
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